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《転職コラム》ブラック企業の見分け方

希望条件とおりの会社に転職したけど「ブラック企業だった…」という事態を避ける為にもブラック企業の見分け方を知っておきましょう。

 

①求人で見分ける

求人内容でブラック企業をある程度見分けることができます。

 

⑴同業他社に比べて給与が高い・給与に幅がある

高い給料を謳っている代わりに労働条件が過酷だったり、求人票や面接と条件が違うことが多いので注意して下さい。

長時間労働や過酷な労働条件

・みなし残業手当(固定残業代)が込みの給料

・高いノルマを達成した場合のみの高給
 (ノルマ未達だとかなり安い給料)

 

⑵学歴・職歴不問、未経験歓迎、若手が活躍などを強調

ブラック企業は、実際の業務内容や就業の実態を求人に記載すると応募者がいなくなってしまうため、聞こえの良い言葉や抽象的な表現をする傾向があります。

学歴・職歴不問、未経験歓迎なのに大卒新卒の給与相場より給与が高い(月給25万円以上、月給30万円保証など)場合は気をつけて下さい。

創業10年以上なのに「若手が活躍」と強調している場合は、短期間で退職する人が多く、中堅が残らないブラック企業の可能性があります。

 

⑶職種や仕事内容がよくわからない

職種名はコンサルティングマーケティング新規事業担当と書いてあるが、仕事内容を見てもどのような仕事なのかよくわからない求人に気をつけて下さい。

※職種名は「企画・コンサルティング職」だが、面接で詳しく聞くと実際は「飛び込みの新規開拓営業」だった…というように、職種名と実際の仕事内容が違うケースもあるので気をつけて下さい。

 

注意点1)募集条件が曖昧な表現が多い

・応募条件:やりたいことがある方

・求める人物:新しいことに挑戦したい方

※一般的な応募条件求める人物は、

・営業、販売、接客の経験がある方

・法人営業3年以上の経験
 (業界問わず無形商材の営業経験者)

・総務や経理の実務経験がある方

など具体的な条件が記載してあります。
誰でもOKのような曖昧な条件の求人ブラック企業の可能性あり。

 

注意点2)会社関連の画像が少ない

・社長、社員、仕事風景などの画像がない
 (内情を知られたくない)

・関係ない建物の外観・内観を掲載している
 (少しでも良く見せたい)

会社関連の画像がない会社は、社長や従業員の風貌・態度・振る舞いに問題があったり、職場が雑然としていて荒れているブラック企業の可能性があります。

 

②企業ホームページで見分ける

ブラック企業のホームページや採用ページは、ブラック特有の特徴があるので注意して下さい。

 

⑴ホームページがない・古い

・HPがない企業は会社情報を公にできない
 (異常な経費削減をしている可能性あり)

・デザインが古く最低限の企業情報のみ

・派手で社長が夢・稼げる・独立などをPR

※ホームページ内の採用ページの募集背景が「事業拡大」「業績好調のため増員」「新規事業立ち上げ」とあっても、応募資格が年齢・経験不問、転職回数・学歴不問、ブランクOKの場合はブラック企業の可能性があります。

 

⑵常に求人を出している

・常に求人を出している企業
 (人の出入りが激しい傾向あり)

・社員数が少ないのに複数の職種・求人を募集
 (人がすぐ辞め常に人手不足)

 

⑶どんな会社なのかよくわからない

記載内容が抽象的な会社は、人手不足や極端な経費削減などで労働環境が悪い可能性があります。

 

⑷やる気重視・実力次第で高収入を強調

・やる気重視
 (根性、精神論、パワハラが横行)

・実力次第で高収入
 (基本給が安くノルマ未達だと給与減)

・即戦力募集
 (常に人手不足で長時間労働・高いノルマ)

・事業拡大につき新メンバー募集
 (無計画に事業拡大し収益化できない)

・若手社員が活躍
 (低賃金長時間労働で中間層が残らない)

・アットホームな職場
 (休日の会社イベントに強制参加させる)

 

⑸採用ページの内容が曖昧

・職種、仕事内容、給与の記載がない
 (何の仕事でいくら貰えるかわからない)

・求める人物の基準が曖昧
 (夢を持っている、起業したい人など)

・HPと転職サイト求人の条件が違う

・社員紹介の肩書きが怪しい
 (カタカナ造語や意味不明なもの)

ブラック企業の求人例]

募集職種ITサポート職

※仕事内容が「サポート」「マーケティング」「コンサルティング」としか記載がなく、どんな仕事かよくわからない場合は要注意。

普通は「営業サポート」「Webマーケティング」「商業施設コンサルタント」など具体的な職種名と詳細な仕事内容が記載されています。


仕事内容PCの初期設定・トラブル対応、見積書・資料作成など

職種名が曖昧で仕事内容がかなり幅広い場合は、「雑用係り」や「何でも屋」だったり、取引先に派遣される「客先常駐」の可能性があるので気をつけて下さい。


応募資格学歴不問(未経験歓迎)

大手や有名企業の中途採用は大卒以上の経験者採用がほとんどです。「学歴不問・未経験歓迎」は、離職率が高いブラック企業の可能性があります。


募集背景業績好調により人員強化のため100名募集

一年中大量採用している企業は大量離職している可能性があります。


雇用形態正社員(試用期間中の6ヶ月間は契約社員で月給15万円)

※普通は「正社員採用で試用期間3ヶ月(給与も試用期間中も本採用後も同じ)」と記載します。試用期間6ヶ月と記載がある企業は試用期間中に退職する人が多い可能性があります。

雇用形態に注釈がある場合は面接や内定時に必ず確認して下さい(入社したら正社員ではなく契約社員採用だったということもよくあります)。


勤務地全国またはプロジェクト先

※支店がないのに勤務地が「全国」となっていたり「プロジェクト先」の場合、正社員採用ですが本社勤務ではなく全国の派遣先に派遣されその企業に常駐する「客先常駐」の可能性があります。


勤務時間9:30〜20:00(実働8時間)

※9:00〜18:00(実働8時間)などのように9時間勤務(昼休憩1時間)で実働8時間が一般的です。それ以上の勤務時間の場合は注意が必要です。


給与

月給25万円〜40万円(基本給18万円〜33万円に固定残業代60時間分/約75,000円を含む)

※月給の幅が大きい場合、最低月給(上記例だと25万円)での採用がほとんどです。「最高実績を出せば月給40万円も可能」というのも参考金額だったりします。

また中途採用で入社した時の月給は役職につかない限り大幅に上がることはあまりないので入社後の給与モデルも必ず確認しましょう。


固定残業代固定残業代(60時間分/約75,000円を含む)は月給に含む

※優良企業だと残業代全額支給されることもあります。

最近は月給に20〜40時間分の固定残業代が含まれる企業が増えていますが、ちゃんとした企業であれば固定残業時間を超過した残業代は別途支給されます。

固定残業時間が40時間を超える企業は、残業40時間が当たり前で、固定残業時間を超過しても別途残業代を支払わないブラック企業の可能性があります。


昇給昇給あり

昇給ありとだけ記載している企業は実際は昇給がない可能性もあるので注意して下さい。

普通の企業は「昇給年1回(4月)」と明確に記載しています。


賞与業績により賞与あり(年1回)

※「業績により賞与あり」は、会社の目標未達だと賞与が出ません。「賞与(昨年度実績3ヶ月分/年)」などの具体的な記載がない場合は、面接または内定時に必ず確認して下さい(数年分の過去実績を必ず確認しましょう)。


年収300万円〜600万円

※年収の幅が大きい場合、最低金額での採用がほとんどです。最高実績を出せば年収600万円も可能という参考金額だったりするので注意して下さい。

中途採用で入社した時の年収は役職につかない限り大幅に上がることはあまりないので必ず入社後の給与モデルを確認して下さい。


勤務時間10:00〜19:00(実働8時間)/プロジェクト先により異なる

※勤務時間に「プロジェクト先により異なる」というような注釈がある場合は、派遣されるプロジェクト先により勤務時間や休日が変わる客先常駐なので注意して下さい。


休日・休暇

○休日:年間休日90日以上(水曜定休、その他ローテーション休/月1〜5日)

○休暇:年末年始休暇、慶弔休暇

所定労働時間が8時間だと年間休日は105日くらいの計算になります。

人気のある求人の休日・休暇は、「年間休日120日以上、完全週休2日制(土日休み)、祝日、年末年始休暇、GW休暇、夏季休暇、有給休暇、慶弔休暇、その他休暇」などと充実しています。


福利厚生・待遇

○試用期間:6ヶ月間(試用期間中はアルバイト/時給1,200円)/試用期間終了後に正社員登用(筆記試験・面接あり)

試用期間が6ヶ月とか試用期間中の雇用形態が正社員以外の場合は要注意です。試用期間中に辞める人が多い、試用期間終了後も正社員になれない可能性もあります。

一般的には、雇用形態は正社員(試用期間中も給与・待遇は同じ)/試用期間3ヶ月が多いです。


③企業のクチコミで見分ける

Googleで「企業名 評判」や「企業名 クチコミ」などのキーワードで検索すると企業の評判・クチコミを見つけることができます。

企業の評判・クチコミの専門サイトもいくつかあります(会員登録なしでクチコミを閲覧できるサイト一部あり)。

企業の評判・口コミサイトを見る際の注意点

➡︎現役社員と元社員の口コミが掲載されていますが、現役社員の口コミは ”良いこと” しか書いていない傾向があるので気をつけて下さい。

➡︎どんな企業でも良い点・悪い点はあると思いますが、”良い口コミしかない” など偏った口コミが多い企業には注意が必要です。できるだけ複数の口コミサイトを見ましょう

【参考資料]

エン ライトハウス
 (en Lighthouse)
年間5,000万ユーザーが利用する日本最大の会社クチコミ
URL:https://en-hyouban.com/
運営:エン・ジャパン株式会社

【参考資料】

オープンワーク」
 (OpenWork)
年収・社員クチコミ1,200万件
URL:https://www.vorkers.com/
運営:オープンワーク株式会社

 

④応募後の企業とのやりとりで見分ける

転職エージェントで応募》
キャリアアドバイザーからその後の進捗の報告があります(マイページ上でメールや電話での報告)。

応募後、一般的には1週間以内で書類選考結果の連絡が来ます(早ければ2〜3日以内)。

1週間以内に結果が来ない時はキャリアアドバイザーに確認しましょう。

 

転職サイトで応募》
マイページにメールで応募企業から連絡が入ります。

大手の転職サイトであれば、応募後すぐに自動メールで「ご応募ありがとうございます。◯日以内に選考結果をお知らせいたします」などの連絡が来ます。

丁寧な会社だと応募企業の担当者名義で応募完了メールが来ることもあります。

※転職サイトで応募後1週間過ぎても連絡がない場合は、応募先企業の人事・総務が人出不足で対応できない可能性があります。

また応募企業へ問い合わせをしても返信がない返信内容が意味不明言葉遣いがおかしいなどの企業にも気をつけて下さい(すぐ人が人事担当が辞めてしまい不慣れな人が対応している可能性があります)。

※ごく稀に事前連絡もなく直接電話連絡してくる企業もあります。

ワンマン社長の会社だったり、「明日来れますか?」という無茶なことを言うブラック企業の可能性もあるので気をつけて下さい。

 

⑤面接で見分ける

面接に行けば会社のリアルな現場を見ることができます

オフィスの様子、社員や面接官の対応などをチェックして良い会社かどうか見分けましょう。

 

⑴オフィスの様子

受付、オフィス、面接室、公共スペース、トイレなどもチェックしましょう。

※オフィスが雑然としている、騒がしい、受付がわかりにくい、トイレが汚れているなどの企業は、外部の人に気を配る余裕がなく人手不足や教育が行き届いていないブラック企業の可能性があります。

 

⑵社員の対応

社員が無愛想・横柄・挨拶をしない会社は、入社後に同じような扱いをされる可能性があります。またオフィスから怒鳴り声が聞こえる、社内の雰囲気がピリついている会社もあったりするので社員の様子をチェックしましょう。

 

⑶面接官の対応

求人の応募要項と違う説明がある

➡︎面接で募集要項と違う説明があったら要注意です(職種や仕事内容、雇用形態・試用期間・給与・待遇など)。

入社後にトラブルになる可能性が大きいので、面接の場で確認するか内定条件が提示された時に必ず確認しましょう。

 

面接がいい加減

➡︎常に人手不足の会社は面接が雑だったり、履歴書や職務経歴書を見ればわかるような質問が多かったりします。

➡︎面接1回のケースが多く、面接の内容も入社意思の確認だけで短時間で終了する傾向があります(一般的な企業の面接は30〜60分くらいです)。

➡︎面接1回の企業は、社長と部長・課長・人事担当者のいずれかが同席することが多いのですが、同席社員がほとんど話をせず社長主導で面接が進められる場合は、社員が意見を言えないワンマン社長の可能性があります。

 

面接官の態度が悪い(圧迫面接など)

➡︎パワハラモラハラが多いブラック企業の社員は、社外の人に対しても横柄だったり、威圧的な態度で圧迫面接を行ったりする傾向があるので気をつけて下さい。

 

労働条件の話をするのを嫌がる

➡︎給与・休日休暇・残業・離職率などの労働条件の質問をすると、面接官が不機嫌になったり、歯切れの悪い回答をしたり、曖昧な回答になったりするので注意して下さい(安い給与、休日休暇が少ない、サービス残業が多いので質問して欲しくない)。

➡︎質問に答えず自社の良いところだけをアピールする企業もあります。このような企業は、入社後にパワハラモラハラがあったり、会社の悪い部分を隠したりする可能性があるので気をつけて下さい。

離職率や残業時間などの質問は慎重にして下さい。面接官の雰囲気や話の流れで質問できそうなら間接的な表現で質問をしてみましょう。(内定後の確認がおすすめです)。

 

⑷公共スペース・トイレ・喫煙所

公共スペース・トイレ・喫煙所で社員が悪口を言っていたり、使い方が悪く汚れている場合は会社が荒れている可能性があります。

 

⑸会社が入居しているビルや通勤路

求人に写真掲載のあったビルと外観が違う、ビルがかなり古く使い勝ってが悪い、ビル周辺が歓楽街で環境が悪い、通勤路の人気がない、駅からかなり遠いなど実際に自分が入社した時のことをイメージしてチェックして下さい。

 

⑥内定通知と内定条件で見分ける

 

⑴内定通知メール

内定が出るのが早すぎる

➡︎ブラック企業は、会社の評判が知られたり、他企業に内定を出される前に働き手を確保するためにすぐ内定を出す傾向があります(面接中や面接翌日の内定もあります)。

 

内定通知に労働条件の記載がない

➡︎一般的には、内定通知メールで「労働条件通知書」が添付またはメール本文に採用条件が記載されています。

労働条件の記載がないとどのような条件で雇用されるのかわからず入社後にトラブルになるので必ずを確認して下さい。

[労働条件通知書]

企業には、採用した人に対して労働条件を通知する義務があります。「労働条件通知書」と通知するのが一般的です。

内定通知書」「採用通知書」「雇用契約」といった別名の書類になっている場合もありますが、内定が出たら必ず提示された労働条件を確認したうえで承諾するようにして下さい。

《労働条件通知書の内容》

労働契約の期間に関する事項

就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

就業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交代制で就業させる場合の就業時転換に関する事項

賃金(退職金及び臨時の賃金は除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

退職に関する事項(解雇の自由を含む

 

⑵内定条件

内定条件が募集要項や面接での話と違う

➡︎募集要項では月給30万円〜、面接では月給35万円からスタートとの話だったが、「労働条件通知書」では月給25万円という記載になっていた。

➡︎募集要項と面接では、デスクワークの「企画担当」だと聞いていたが、「労働条件通知書」では「営業職(新規開拓)」になっていた。

※ちゃんとした企業であれば、募集要項や面接での条件が「労働条件通知書」で大きく変わることはあまりありません(仕事内容が増えたり、給与額が変わる場合は事前説明があります)。

 

同時に複数内定を貰った場合は条件交渉をしてみましょう

➡︎第一希望の企業から内定を貰ったが、第二希望の企業からの内定条件の給与が良かった場合、給与交渉をしたうえで入社先を決めるのもありです(但し無理な交渉をすると内定取消や入社後に気まずくなることもあるので慎重にしましょう)。

 

⑦会社見学やサービスを利用して見分ける

 

⑴会社見学

➡︎例えば「ショールーム受付」の仕事ならば、自分が働く予定の店舗や姉妹店舗にお客さんとして行ってみて実際の仕事を見たり、従業員の働きぶりや仕事環境をチェックすることで企業の現状がわかり、自分の働くイメージもできたりします。

➡︎募集要項と面接では、「残業なし」「残業はあっても1時間以内」「土日祝日の出勤はない」との説明だった場合でも、心配であれば業務時間終了後や定休日にオフィスを実際に見に行き残業や休日出勤がないのかチェックしてみるのもありです。

 

⑵会社のサービスを利用

➡︎面接前に応募企業のサービス(例:旅行サイト運営企業)を利用して競合他社との比較して面接で感想を伝えたり、いろいろ質問してみる(こんなことはできないか?この機能がないのはなぜか?など)と良いかもしれません。

➡︎旅行代理店の店頭営業の面接を受けた後に旅行代理店の店舗に行き旅行相談をしてみる(面接で仕事内容や店の雰囲気を聞いたが本当はどうなのかを確認)。できれば競合他社の店舗も比較で旅行相談に行くと面接を受けた会社の良い点・改善点も見つけられます。

 

⑶会社に電話やメールで問い合わせ

➡︎応募企業(例:ホテル運営企業)にお客さんとして「宿泊プランの内容」や「空室状況(予約関連)」の問い合わせを電話やメールでしてみてどのような対応(仕事ぶり)か確認することで応募企業の良い点・改善点が見えます。比較で競合他社のホテルにも問い合わせの電話やメールをしてみるとより良いかもしれません。

 

⑧企業調査で見分ける

内定が出たが会社の業績が良いのか悪いのかわからず入社を迷っている場合、東京商工リサーチなどの企業信用調査(有料)を利用して入社可否を判断するのもありかもしれません(東京商工リサーチの詳細は公式ホームページを確認して下さい)。

 

以上